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~川崎大輔が読む、東南アジア流通市場~
インドネシアの中古車乗り入れ規制が与える影響

2017年に実施か―車齢10年超の中古車乗り入れ規制

以前より話が上がっていた「車齢10年超の中古車乗り入れ規制」を、インドネシアの首都ジャカルタで2017年より本格導入する計画が浮上している。これは、2015年1月15日付で地元新聞のビスニス・インドネシアなどが伝えた、渋滞を解消するため施策のひとつ。この計画が実施された場合、車齢を重ねている中古車の価格に相応の影響が出ることが予想される。

インドネシアの中古車市場規模

インドネシアにおける中古車市場規模の統計データがないため、正確な数字は分かっていないが、現地の銀行アナリストは、中古車の年間販売台数は新車販売台数(約120万台)の約4倍(=500万台弱)と見積もっている。

 

これはひとつの考え方であり一概には言えないが、インドネシア国内における自動車保有台数が約2,000万台であり、5年に1度買い替えると考えると、概算で年間400万台弱となる。いずれにしろ大きな市場規模だと⾔える。

 

一方、インドネシア自動車製造業者協会(ガイキンド)によれば、2014年の新車販売台数は前年に比べ、約2万台減った。2009年以降増加を続けていたが、景気停滞やルピア安などが影響して5年ぶりに前年を割り込み、129万8523台(2013)から120万8019台(2014)と減少した。

 

中古車市場規模は新車販売台数が先行指数となっていることを考えれば、若干の波はあるものの、長期的には中古車の発生量が急減することはないだろう。市場への流入量が増えてくれば、重要と供給の関係から中古車価格は次第に下落してくると推測される。

価格形成について

2014年は、需要のわりに中古車の市場への供給は圧倒的に少なく、高値で安定していた。しかし直近では中古車価格は下落し続けている。これは、2013年に政府が行った低燃費・低価格自動車の普及に向けたローコストグリーンカー(LCGC)施策の減税によって、安価で新車購入ができるようになり、中古車もそれに引きずられる形で下落していったからだ。

 

一方でLCGCだけが価格下落の要因とはいえない。これまでの相場がむしろ高すぎたと考えるのが⾃然だ。価格の下落は続いているが、適正相場に向かっている過程だと考えられる。

中古車流通の実態

一般的に、日本の中古車販売店ではオークションから仕入れをする。一方インドネシアでは、多くをブローカーから仕入れをする。つまりブローカーネットワークの大きさと質がビジネスの強みとなる。オークションは存在するが、販売店が積極的にそこで売買をする習慣は日本ほど根付いていない。日本と異なり、自動車メーカーがまだ中古車に目を向けておらず、中古車買取専門店も存在しないため、ブローカーがまだ活躍できる市場があるからだ。

 

インドネシアのブローカーは、都市から地方への中古車流通を担っているという点で重要な存在である。

 

地方のエンドユーザーは、購入したい中古車がある場合、近所の中古車販売店に希望を伝える。

 

中古車販売店は地元ブローカーに条件を指示。地元ブローカーは信頼できる都市のブローカーに連絡して、都市の中古車販売店で希望の中古車を見つけるという流れになっている。

 

都市で仕入れられた中古車は、それぞれの販売店・ブローカーで中間マージンを加算されながら、最終的に地方のエンドユーザーの元に届いていくのである。

地方への流通加速と中古車価格の2極化

「車齢10年超の中古車乗り入れ規制」がインドネシアの首都ジャカルタで導入された場合、ジャカルタから地方への中古車の流れは当然加速するだろう。公共交通機関についても「規定の見直しを実施する」としており、導入はこれらの公共交通機関の準備が整うおよそ2年後になると、ジャカルタ特別州のバスキ知事は予想している。

 

2017年に本格的に導入された場合、車齢10年以上で、ジャカルタで利用ができない中古車は、ブローカーを通じて地方の中古車販売店へ流れると考えられる。自動車需要はジャカルタ周辺だけに留まっていない。インドネシア全体の新車販売台数は、ジャカルタ特別州が最大の市場となってはいるが、隣接する西ジャワ州、東ジャワ州などでも市場規模は大きい。スラバヤ(ジャワ島)、メダン(スマトラ島)、マカッサル(スラウェシ島)など、人口100万人以上の都市が10ヶ所あるからだ。地方都市もインドネシアの経済発展に⼤きく貢献しており、地方でのさらなる自動車需要が見込まれている。

 

同時に、筆者は、中古車価格が2 極化されると考えている。ひとつは、1.8〜3.0リットル(カムリ、CR-Vなど)の高価格帯の車。これらの中古車価格は、それほど大きな下落は見られない。インドネシアにおける平均所得向上とLCGC の増加によって、保有台数のうち小型車の占める割合は増加するため、この高価格帯の中古車供給は減少することが考えられるからだ。もうひとつが1.3〜1.5リットル(アバンザなど)の小型車。LCGCに引っ張られ、中古車市場が軟化しやすくなると考えられる。

 

インドネシア国内の1,000人あたり保有台数は日本の約600台に対して約80台前後。インドネシアにおける自動車普及率はまだ低く、拡大する余地は大きい。インドネシアの中古車市場はまさに黎明期にある。

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川崎大輔まで

アセアンプラスコンサルティング代表 川崎 大輔

アセアンプラスコンサルティング代表 川崎 大輔 Kawasaki Daisuke

大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより「日本とアジアの架け橋代行人」として、Asean Plus Consulting LLCにてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。アジア各国の市場に精通している。現在、レスポンスコラム「川崎大輔の流通大陸」を連載。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。

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